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vol.04 『物置が聖域?』

宅配便って、扱う荷物の種類によっても違うけど、
百貨店系の荷物だとひとり当たりの荷物の量は、
企業系の荷物の量よりもグ~ンと増えるんです。
理由はいろいろあるのですが、
まぁ百貨店系は廻る件数が多いと考えてください。
そんなわけで廻る件数が多いから、
面白い事に遭う確率も高くなるんですよ。
今回はドキドキしたお話です。
ち、ちょっと怖かったぁ (T_T)


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■ハンドルを握ったサルと愉快な仲間たち
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『物置が聖域?』
お正月だったかなぁ?
ゴールデンウィークだったかなぁ?
それともお盆?
う~ん、事件は覚えているのに時期が思い出せないなぁ。
 
とにかく休日だった事は覚えているんです。それも大型連休。
世間の皆さんは、海外だー!温泉だー!と旅行行っちゃうくらいの 連休だったと思うんだけど…。
あの日は荷量がとにかく多くて、ヒィヒィしながらの配達でした。
お香典返しの荷が大量だったんですよ。
地域は固まって荷が出ていたので普段なら何てこと無かったのかも しれないけど、その品物が……
洗剤! 30×30×30センチくらいの重いやつ!
し・か・も
山!
車が入れない歩道…
いやいや、階段ばかりの山道沿いの地域。(T_T)
山道っていうと、木がうっそうと茂っている切り通しみたいなトコを想像するかもしれませんが、そんなことないんですよ~。
木の代わりに家がびっしり建っている住宅地です。
「山」っていうとピンときませんが、
坂道は立派に山!ですからねぇ。
今回は道幅1メートルも無いから車は入れないし、階段だから台車も使えないんです。
その地域だけで50件。つまり洗剤持って「ヒィヒィ」言いながら 車と配達先の往復しなければならないんです。
結構キツイんですよぉ。
 
何往復目だったかなぁ?
さすがに連休のために不在が多くて多くて…いやになってきた時でした。
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1個1個はそうでもなくても、やはり数が多いとかなり重く感じてきます。
腕がプルプルしてきた頃、ある1件のお宅に向かいました。
もちろん洗剤持って。
その家は狭い階段道のさらに奥に入った家でした。
この地域をよく知ってるボクでさえ「この奥かなぁ?」と少し悩む くらい狭く雑草の生い茂った路地でした。
それでも入ってみるとちゃんと表札が出ています。
ほっとして荷物を両手で持って人差し指だけプルプル伸ばして
チャイムを押しました。
「ピンポ~ン」
すると、家の中でガサガサ音がしました。
(お、いるな)
 
しかし、返事は無いし出てくる様子もないんです。 
それでもしばらく待ってみます。
続けてチャイムを押したり、ドアをノックしたり、
呼びかけるのは最小限にしないと、
それがクレームになる事が多々あるためです。
しかし出てきません。
物音も止んでしまいました。
仕方ありませんもう一度チャイムを鳴らします。
いいかげん腕が疲れてましたし。
人差し指を伸ばして……ん?
その時、異変に気が付いたんです。
その家はドアにガラスが嵌まっているタイプだったのですが、
そのガラスが割れている。
ちょうど鍵がある位置が。
足元に割れた破片が散らばっています。
なんで?なんで割れたままにしてるの?
しかし、さっき物音がしていましたから中に人はいるはずです。
「ピンポ~ン」
「○○さん、お届けもので~す」
『ガサッ、ガタンッ!』
家の中で大きな物音がした時、急にぞわぞわっ!と寒気が体中に走って、はっと気が付いたんです。これは普通じゃない。
何か起こっている!
足元のガラスの破片を見ながら。
そろりそろりと後ずさりし始めた時
(チャイムは鳴らしてるし声も掛けているのに意味ないっすよね)
ドアのガラスに人影が映りました。
ドアの方に静かに静かに歩いて来る。
「やばい、逃げなきゃ」
何が起こっているのか、何も起きていないのか、
まだ全然判らないのに、
体が…いや感覚が「逃げろ!」と言ってるんです。
 
何も起きてないよ。
お客さんが出て来ようとしているだけだよ。
と言い聞かせても、長年の宅配の勘が逃げる事を命令する。
とっさに物置の陰に隠れました。
息を殺してじっと様子を窺ってみました。
レバー式のドアノブが静かに下がり始め、動きが止まると今度はドアが静かに開き始めた…と思ったら、いきなり力いっぱいドアが開け放たれ、中から男が飛び出して来たんです!
「…外人?」
そう思ったのもつかの間、次の瞬間ボクは凍りついたのです。
男の手にナイフが握られていたからです。
ぞわぞわした感覚がガタガタと体を震わせていきます。
間違いなく空き巣!
頭の中での想像やテレビを見ている時なら、こんな時いとも簡単にとび蹴りの一発でも喰らわせてノックアウトしちゃうのに、体が震える。動けない。
勘を信じてよかった!隠れてよかった!
男は少し辺りの様子を窺うと、そのまま物置には目もくれずに足早にボクが入って来た道から出て行きました。
そぉっと顔を出して見ると、男は狭い階段道を下って行くところが見えたので、物置の陰から出ました。
家の様子を見ようかと一瞬躊躇しましたが、何故か家の中には誰もいないと強く感じたので、ダッシュで車に向かいました。
目的はハンニンタイホです!
もちろんボクが…じゃなくて警察の力を借りてです。
車に飛び乗ると駅前の交番目指してダッシュです。
犯人より早く!先回りで警察に知らせて逮捕だ!
駅前の交番は山の下にあります。
車は山の上に停めていたのでグルッと回り道しなければならないのですが、交通量が少ないのでガンガンにとばしていきました。
駅前に近づくにつれて人通りが多くなって来たのでスピードを緩めながらも急いでいると、さっきの男が駅に向かって歩いているのが見えました。
 
一瞬、「轢いちゃうか?」と怖い考えが浮かびましたが、
まさかそんな事をするはずもなく、すっと追い越してバックミラーで男を確認。
間違いない。さっきのやつだ。
そこから駅までは、まだ300メートルはあったのでボクの方が先に着きました。
交番の前にキッと車を横付けして停め、交番に飛び込んで
「空き巣です。今、その男がこっちに歩いて来ます。職務質問してください!」
 
…そう言ったのに。
「まずあなたのお名前教えてくれるかな?それと現場はどこですか?」
って。
なんでぇ?今こっちに来てるんだよ、犯人が。
「後から言うけど、今こっちに来てるんですよ。ホラッ!あいつですよ!職務質問してくださいよ!」
その言葉も虚しく、その警官は振り向きもせずに頭も上げずに、
調書の作成ばかりで、とうとう犯人は駅の構内に消えていきました…。
調書をとると、
「今から現場に行ってみるけど、あとで犯人の特徴を詳しく教えてもらう為に連絡するかもしれません」って。
どうなってんの?
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後日、空き巣に入られた家からデポにお礼の連絡がありました。
やはり、空き巣だったようで、金品をごっそり奪われていたそうです。
犯人は捕まっていないそうです…。



コメント

  1. 両手を広げて、泣く学生。

    運転代行の仕事をしている時の話です。
    深夜2時を過ぎ仕事もひと段落ついたのでコンビニにより休憩をしようとしたときです
    薄暗い道路の真ん中に両手広げた学生…

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