まぁ、世の中にはどうでもいい事なんだけど困ってしまう事態が
 多々ありますねぇ。
 前に話しましたが、
 ボクの目の前を歩いていた女性が
 スカートのファスナー開けたまま歩いていたので
 小さい声で教えてあげたら
 「変態ッッ!!」って…(泣)
 …変態。。。
 確かにその要素はあるかもしれないけれど…
 変態ッ!!て大声で言わなくても…。
 おかげで、駅前の大通りを
 コソコソと逃げるようなハメになったじゃないですか。
 これじゃ、ホント変態…。
 今回は、そんな困ったお話です。
 
————–2005/07/25~27 発行 第56号~第58号———————–
 
 


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■ハンドルを握ったサルと愉快な仲間たち
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 『聖母の微笑み』
 ある晴れた日のことです。
 ボクは住所不明の荷物を抱えて、
 あっちかなぁ?こっちかなぁ?とウロウロしていました。
 ある地域の通称と
 受取人の名前だけしか書いてない荷物を持って。
 捜索地域は、古くからある学生専門の下宿街。
 こう書くと、
 なんだか風情溢れる町並みみたいに感じるかもしれませんが
 ぜんぜんそんな事ありません。
 マンションやら商業ビルやらがガンガンと建ちまくってる片隅に
 クルマも入れないようなオンボロアパート群が立ち並んでいる地域です。
 まさに別世界!
 現代から取り残されたような昭和の地ですよ。
 実は…、
 こういうトコの配達、嫌なんですよ。
 だってクルマ入れないし。
 学生だから不在ばっかりだし。
 おまけに一軒家みたいな顔してるくせに中はアパートだったり。
 住所は曖昧だし…。
 今の若いコたちは「共同」なんて知らないだろうなぁ~。
 共同トイレ、共同風呂、共同流し…。
 アパートに暮らしている人達が、風呂もトイレも共同で使うんですよ。
 もちろん煮炊きする台所も共同。
 そんなアパートばっかりなんですよねぇ。ここ。
 しかも、こんなトコに住むのって男ばっかじゃん!
 色気もなにもあったもんじゃないもん。
 臭いし…。
 配達するのだってつまんないですよ。
 そんな下宿街の狭い道をテクテクとボクは歩いていたんです。
 この地域の通称と受取人の名前しかかいてない荷物を持って。
 ちゃんと住所書いてほしいよ。
 一軒一軒ガラガラの扉開けて、
 玄関先に掛かっている居住者の名前書いたプレート見ては
 ため息ついて次のアパートへと歩いていたんです。
 何軒歩いたでしょう?
 結構な軒数の下宿アパートを歩いているうちに
 綺麗な女性の声が響いたのです。
 「どちらを、お探しですか?」
 スラムのような世界に響く美声。
 う~ん、まさに聖母の声。
 ちなみに、ボクってば、
 声の美しい人にはコロッといっちゃうんです。ははは。
 ま、そんな事はどうでもいいんですが
 その美しい声はどこから響いてきてるんでしょう?
 辺りを見回したんですが
 よくわかりません。
 するとまた聖母の美声が…。
 「お手伝いできますよ」
 今度はわかりました。
 スラムの道路の向かいのお宅のベランダからでした。
 洗濯物を干している途中でしょうか?
 太陽の光を浴びて、爽やかな風に長い髪をなびかせている姿は
 スラムを放浪してきたボクにとって、
 世界中で一番美しい女性に見えたのです。
 しかも「お手伝いできますよ」!!
 こんな言葉を言える人ってどのくらいいるんでしょう?
 
 多少逆光になっているところがまた良い。
 後光を背負っているようです。
 「あ、すみません。ちょっとわからなくて…」
 眩しい太陽の光に、片手をかざしてボクは女性に言いました。
 
 と、その時!
 かざした手の指の隙間から見えたものは!!
 なんと、下半身もあらわな聖母の姿だったのです。
 聖母の立つベランダには、プライバシーを守るものなど無く
 下から見上げるボクに、スカートの中が丸見え状態だったのです。
 白いスカート…が
 ふわふわと風になびき
 太陽の光を透かし
 まるでスカートの中に電灯があるように
 明るく、そしてくっきりと…
 丸見え…(ポッ)
 しかし、そのあらわな姿に聖母はまったく気が付いていないのです。
 手摺に手をかけながら、道路に立つボクに優しい声をかけるのです。
 
 「この辺りは、わかりづらいんですよねぇ」
 あぁ、どうする?
 どうするボク!
 2階から話し掛けられているのに
 下を向くわけにもいかないし…。
 かといって上を見れば、思いっきり下半身直視だし…。
 もしもし、下半身丸見えですよ?
 そんなコト言えるかーっ!!
 あ~、どうしよう?
 このまま見ちゃっていいって事??
 ムフー♪
 だってしょうがないじゃん!
 たまたま、こんなシチュエーションになちゃったんだし。
 ボクが悪いわけじゃないもんね。
 そう、不可抗力だよ。
 目に入っちゃったって事だよね。
 そうそう。
 これは、仕方の無い事だから…
 ちゃんと上見て話しましょうムフフ。
 その時…。
 ボクの後ろのスラムアパートの戸がガラガラッと開いたのです。
 どうやらスラムの大家さんみたいです。
 ほうきとチリトリ持ってスラムの掃除か?
 それに気が付いた聖母が、スラムの大家に挨拶すると
 スラムの大家が、ふっと顔を上げて
 「あら~!アンタ、スカートの中丸見えだよ!」
 って、言っちゃったのです。
 笑顔が凍りつく聖母。
 ボクと一瞬、目が合うと黙って部屋に入っちゃったのです。
 あ…、いや…
 何か言おうとしましたが、適当な言葉も見つかるわけなく…。
 スラムの大家を振り返ると
 「あ~、丸見えだったね。黙って見てたね?変態」
 変態変態ヘンタイ~…
 
 結局、教えてあげても教えなくても
 こんなシチュエーションに出会ってしまったら
 変態なんですか???
 でも…ま、いいか!