『タマゴで即席ダーリン誕生』の奥さんに、こう言われました。
「あんたも大変ねぇ。
宅配便ってあんなに頑張らなくちゃいけないの?」
何ッ!?
あんなにって何?
ま、まさか!
この宅配アスリートを読んでる!?
嘘だろ~(泣)
と、ちょっと焦ったのですが、全然違いました。
実は、この奥さん宅に宅配便が届いたそうなんですが、
その時、事件が起きたそうなんです。
その事件とは…
————–2005/10/12 発行 第46号———————–
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■ハンドルを握ったサルと愉快な仲間たち
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『タマゴの恩返し?』
「宅配便でーす」
午後の早い時間に、玄関から元気な声がしたんだそうです。
そういえば、今日は田舎から荷物が来るはずだったと思い出し
奥さんは「はーい」と言いながら玄関に出ました。
玄関を開けて、爽やかな配達員にハンコを渡して荷物を受取ったのですが
宛名を見ると、それは違うお宅の荷物でした。
奥さんの家は道路から少し階段を上るようになっているのですが
荷物の間違いに気が付いた奥さんは、
その階段を駆け下りていく配達員にあわてて声をかけたんだそうです。
「荷物違いますよ~!」
それを聞いて配達員はあわてて戻ってきて
「すみません!今、持ってきますから!」
と、その荷物を受取って階段をまた駆け下りたそうです。
(あ、間違えただけでウチにも荷物は来てるのね)
そう思ったので、玄関前でその配達員の後姿を見ていた時、
その配達員は階段を踏み外してしまったのです。
大きく体勢を崩しましたが、なんとか転ばずにいたものの
そのままの勢いで隣との境にある膝丈のブロック塀に
足のすね部分から激突したそうです。
ゴキッ!
音が聞こえたんだそうです。
見ている奥さんまで「痛ッ」と思うほどの衝撃だったはずなのに
配達員は、何事も無かったようにクルマのドアを開けて
奥さん宅宛ての荷物を取り出して持ってきたそうです。
奥さんは、荷物を受取りましたが、どうにも気になって尋ねました。
「足、大丈夫?」
「あ~、なんともないですよ!へへっ、ぶつかっちゃいましたね」
そんな風に笑ったそうですが、気になった奥さんは
「ちょっと見せて」
そう言って配達員のズボンに手をかけたそうです。
作業ズボンをめくって見ると、なんと流血しているじゃないですか!
そうしている間にも脛から靴下へ、
血が滲み始めていたんだそうです。
「あ、あなた!すごい血!」
その出血に驚いて声を上げると
それまで笑顔だった配達員の表情は一変。
「うううう、うわあぁぁぁ───っ!!」
特大の悲鳴をあげました。
そして玄関脇にある電話の受話器を
勝手に取りあげて119番に電話しました。
「も、もしもし救急車お願いします。血がすごいんです。
住所は○○区○○町…」
ところが聞いた事も無い住所です。
どうしてそんな住所言うんだろう?
「あ、間違いです!それは俺の自宅だ。えーとここは…?」
そうしてやっと奥さんに気が付いたように目が合うと突然叫びました。
「あんた!ボーっとしてるんじゃねぇ!ちゃっちゃと住所言えよ!」
すごい剣幕だったので、受話器を受取ったものの
いくら怪我をしたからといっても、その言い草にムッときて
「そんな言い方ないでしょう?怪我したのは私の責任なの?」
「うるせー!こっちは大怪我してるんだ!見ろっ、この血を」
自分でズボンをめくり血を見た配達員は、自分の血に驚いたのか
「ひゃぁぁー」
と、腰を抜かしました。
「おまっ、お前!早く血ィ止めろよ!死んじまうよぉ~」
「死ぬわけないでしょっ!頭にきちゃうっ!」
と、言いつつ電話を代わり住所を教えたそうです。
救急車は間もなく到着して配達員を運んで行ったのですが
もちろん配達のクルマはそのまま残されました。
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「で、そのクルマが邪魔なのよねぇ~」
奥さんは家の前に停まっている営業車を指差します。
え?もしかしてコレ?
このクルマがその配達員のクルマなの?
「そ~よ~。ね、邪魔でしょう?」
あったりまえじゃん!
荷物を取り違えた配達員は、よほど慌てていたんでしょう。
クルマのバックドアは開いたままだし、
運転席のドアまで開けっぱなしなんですよ。
いくら軽自動車とはいえ、運転席のドアが開けっ放しでは
他のクルマの通行に邪魔でしょう?
「だから邪魔って言ってんじゃん!聞いてないの~?」
「閉めたらいいじゃないですか」
「な~に言ってんの?カッシー。
あそこまで言われて、おまけに救急車まで呼んであげたんだよ?
玄関だって血ィ付いちゃったしさぁ。そんな事する義理ないよ」
カ、カッシーって…。ボクの事?
ま、でも奥さんの言う事にも一理あるか…な?
いやいやいや、やっぱりドアくらい閉めてあげましょうよ。
「あ、そうだ!そのクルマ邪魔だからカッシー配達してあげなよ。
その分儲かるじゃん。ね!一石二鳥だよ、コレ。
ヤダ、アタシったら頭イイ~!ほら、この前のタマゴのお礼♪」
はぁ?
アンタ幸せな人ですよ…。