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vol.07 『パン粉とサンゴ』

荷物を配達する際に必要なのが「受領印」です。
この受領印について語りたい事はたくさんあるのですが、
今回はそのお話は置いといて、受領印を貰う時にあったお話をしましょう。
「ここにハンコをお願いします」って指をさすと
その指の爪にハンコを押す人のなんと多いことか!
びっくりしますよ。
爪に押してどうするんだっての。
それでいて平気な顔してたりするからなぁ。
ま、でもそんなの序の口。
なんてったって、あのおじいちゃんに比べたらカワイイもんですよ


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■ハンドルを握ったサルと愉快な仲間たち
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『パン粉とサンゴ』
荷物を手渡す時、みんな何て言ってるのかなぁ?
「受領印お願いします」?
「ミトメください」?
皆さんが宅配便受け取る時に配達員は何て言ってます?
ボクは「ハンコかサインお願いします」って言ってるんです。
基本は受領印を貰う事になっているのだけど、
サインでも全然問題ない。
 
荷物を勝手に玄関前放置とかして偽サインしなければ、サインでもいい。
この「ハンコかサインお願いします」と言う時、ボールペンをピラピラ見せるのがポイントです!
宅配便は鮮度が命、スピード勝負。
大体1件3分ペースで廻るんです。
こうしないと今日の配達分廻れないんですね。移動時間も含めてね。
移動時間はどうにかなるけど、どうしようもないのがチャイムを鳴らしてからお客さんを待つ時間。
これが以外に時間掛かるんですよ。
だから受領を貰う時は、ハンコよりも今ここにあるボールペンでサインをしてもらいたいんです。
ハンコの場合、玄関を開けてからハンコを探しに
行く人が多くて、奥に入ってから
「無いわぁ。サインでもいいかしら?」
という事が多々あります。
だから最初にサインと言ってしまうんですね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あの家の時もそうでした。
いつものようにチャイムを押して「○○運送です」と声を掛けると出てきたのは80歳くらいのおじいちゃん。
(う……時間掛かるかも)
 
こんな事ホントは思っちゃいけないんだけど、やっぱり思っちゃう。
もう急いで「ハンコかサインお願いしま~す」と言うと
「あぁ~ハイハイちょっと待ってねぇ」
と奥に入ってしまったんです。
(あぁ、しまった!サインでいいって言えばよかったなぁ)
案の定、なかなか戻って来てくれません。
急がせてるみたいで嫌だけど仕方ない…
「サインでいいですよーー!」
そう奥に声を掛けますが返事も無し。
さらに時間が過ぎていきます。
「………………サインでいいですよぉ。」
返事なし…。
 
5分経過……6分経過……。
そうして10分くらい待ってやっと出て来たおじいちゃんはニコニコ顔です。
「これでいいかなぁ?」
ニコニコして差し出されてのは、なんと『パン粉』!
 
…何故?
あぁそうか!何かこのパン粉が必要なお客さんが来る予定になってたのかな?それで、ボクをその人と勘違いしてるんだな。
そう思った僕は
「いやあの、パン粉じゃなくて『ハンコかサイン』をお願いしたいんですが…。」
「おぉーそうだった!ほれ!これだ。」
そう言って満面の笑みで差し出されたのは、
ティッシュの箱を3~4個積み重ねたくらいの大きさの
ガラスケースに入った『サンゴ』。
(んん?…何故?)
『パン粉』に『サンゴ』を両手に持って差し出すおじいちゃんはニッコニコしています。
「いやあのですね、ハンコかサインをお願いしたいんですよ」
「だからほら、パン粉にサンゴ。ほら!見つけるのに苦労したぞ。あったから良かったけど、何に使うんだい?」
『ハンコかサイン』
『パン粉にサンゴ』
んん~?…まさか?似てるけど…。
「…ハンコ?」
「うん!パン粉だな」
と、パン粉を差し出す。ニコニコ顔で。
「…サイン?」
「おぉ、サンゴな。あったから良かったな!」
と、サンゴを差し出します。
!!
やっぱり…聞き違いしてる。
それにしてもこんな聞き間違いって…?
荷物持ってきたのにパン粉とサンゴ何に使うんだって…
ボクが聞きたいよー! (^_^.)



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