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vol.09 『親切は手錠の囁き』

うひょーっ!
今日は入荷少ない!ラッキー!
 
昨日は夜間便を頑張ったから不在も無いし、早く帰れるぞぉ(^-^ )
今日は夜間無いからね。
宅配便の殆どの業者は、歩合制なんですよ。
だから荷物が無いと稼げないんですが、
いつもいつも「もっともっと!」
と頑張ってると疲れちゃうからなぁ。
たまには、この荷物の少ない状況を楽しんじゃいましょ!


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■ハンドルを握ったサルと愉快な仲間たち
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 『親切は手錠の囁き』
ガシャン!
いきなり、目の前を自転車で横断していたオジサンが転んだ。
見るところ70歳くらいのオジサン。
歩道を渡ろうとしてたので道を譲ったんだけど、
慌てちゃったのかな。
場所は、とある閑静な住宅地。
近所の人なんでしょうか?それにしても失礼ながら、
この住宅地にはそぐわないような格好をしている。
この辺は駅前の病院の先生方が住んでいるような、
ちょっと高級な雰囲気なんですが…。
 
しかし、痛そうにしているし大丈夫かなぁ?
そう思ってボクは車を降りました。
「大丈夫ですかぁ?どっか強く打っちゃいましたか?」
声をかけると、オジサンは
「いやぁ、大丈夫、大丈夫。」
そう言いながら手をヒラヒラ振ります。
どうやら大きな怪我はしていない感じだけど、
それならサッサと立ち上がればいいのに…。
立つのが難しいのか?やっぱり怪我したのかな?
「でもホラ道路で危ないから…。」
 
ボクがそう言うと、オジサンはヨロヨロと立ち上がり、
今度は道路の脇に座り込みました。
自転車はそのままだったので、ボクは自転車を起こしオジサンの隣に持って行って「ここに置いていい?」と聞きました。
しかしオジサンは困ったように上着の内ポケットをゴソゴソ。
なにか探している様子です。
 
その時、気づきました。
 
(酒くせぇ。酔っ払ってるな)
これだけ臭ってるということは、
かなり飲んでるなと思ったボクは、あまり関わらない方がいいかもと立ち去ろうとしました。
「とりあえず、ここに自転車置いておくから気をつけて帰ってね。」
そう言うとオジサンは少し笑顔になり、また手を振ります。
車に乗り込みエンジンを掛ける時、オジサンを見ると立ち上がっていてまだゴソゴソやってます。
ホントに大丈夫かなぁ…?、と思っているとオジサンが!
おっとっとっと…とフラフラし始めました。
ホラホラ!急に立ち上がるから…と思う間もなく
道路わきの電柱に思いっきり頭から転んだのです。
(おわぁー!言わんこっちゃない、ありゃー痛ぇぞ!)
オジサンは受身などしないで
頭打ち付けたままズルズルと倒れます。
そしてその後に電柱に残る、赤い血のあと!
 
(なにぃ!?頭、切ったのか!大変だ。)
今度はボクも慌てて車を降りて、
「大丈夫ですかっ!」
と大きな声を掛けました。
近くに寄ると額がザックリ切れていて、
だらだらと血が流れています。
「こりゃマズイ。救急車呼ぶよ?」
ボクは携帯電話で救急車を呼びます。
その時気付いたのですが、近所の人が窓から覗いています。
さっき慌てて車を降りた時、思い切りドアを閉めたから大きな音がしたのか、大きな声で大丈夫ですかと声を掛けたからなのか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
救急車より先にパトカーが到着しました。
その頃には近所の人も集まって来ており、
「どうしたの?」
と口々に声を掛けて来ます。
警官に事情を説明すると、ふんふんと黙って聞いていましたがその後に警官から出た言葉は驚くべき言葉でした。
「ブレーキはどこら辺でかけたの?」
「はぁー?」
どうやら、ボクがキチンと事情を説明したにもかかわらず、
警官はボクが轢いたと思っているらしい。
「いや、そうじゃなくてですね、このオジサンがこういう風に電柱に ぶつかって倒れたんですよ。」
「うんうんそうだね。それでこの旦那さんに気付いたのはいつ?
 今日はお仕事?酒は飲んでないよね?居眠り?それとも脇見しちゃ ったかな?」
 (何聞いてんだコイツ!さっきから説明してんじゃねぇか!)
ムカムカしていると、オジサンの事情を聞いていた警官が
「……そう。じゃ旦那さんは自転車で走っていたら急に後ろから追突 されたと、そういう感じなのかな?」
そんな事いってるんです!
何で?オジサン?
しゃがんで警官に事情説明しているオジサンは、
追突されたと言ってるんです!
(ふざけんじゃねぇ!)
さらにムカムカしていると急に後ろからオバサンの声で
「ワタシ見ました!!!急ブレーキの音が聞こえて外を見ると、
 この車が追突していったんです。この人(オジサンを指差して)が 飛ばされて電柱に当たって、この人(ボク)が大声で怒鳴りながら 慌てて車を降りたんですよ」
…って、何を見たんじゃ!このオバハンはーーッ!!
 
「ま、こういう事だと人身事故なんでパトカーの中で詳しく事情聞か せてもらえるかな?」
警官はボクにパトカーに乗るように促します。
だけど、だけど、何にもしていないのに、
そんな義務はボクにはないっ!
パトカーに乗るのを拒んでいると
「人目もあるし…ね。」
そう言われてみると、もうかなりの住人が集まって来ています。
渋々パトカーに乗りこみ、事情を詳しく詳しく説明してやっとわかってもらえました。
 
そりゃそうだよ。
だって他の人が言ってるのは全部嘘だもん。
ちょっと現場を見回してみればわかるはずだもんね。
住所は聞かれましたが、免許証を見せろとまでは言われなかった。
全面的に信じてもらえたからだと思います。
好奇の目でみんなに見られて酷い目にあったけどね。
…しっかしあのオバハンは、許せん!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それからしばらくして…
もう絶対に車に乗っている時に、
倒れてる人を見ても助けないんだから!
固く心に誓ったボクでした。
それなのに……
がしゃん!
また目の前で自転車が倒れた。
(もう助けないぞ。声掛けないぞ。そう決めたんだからねっ!)
 
「大丈夫ですか?」
…あ~あ。そうやって声を掛けちゃいました。
まったく面倒に巻き込まれるのは懲りたはずなのになぁ。
今度はいい人なら(いや普通の人なら)いいけどなぁ。
 



コメント

  1. コロコロ より:

    実は私も似た事件に遭遇しました。近所の路上で女子高校生が倒れており、私の車と前の車との二台でとめて、声をかけていたら、近所のひとが、どばどばと出て来られたんです。私の前の車のひとは、じゃあと去って行かれました。が、私たちより先に彼女に気づいて自宅に救急車呼びに行っていたおじさんも、見ていたはずの人も、「車に当てられたのかなあ?」なんてつぶやいたりして。でも、私の車は、後ろにとめていたし前の車も単に親切でとめていたと断固と主張しました。前の車が犯人にされるところでしたよ。ひどい。私の断固とした態度と、近所の顔見知りじゃんということと、どっこも打ち身がなく検査も過労??ということで、丸くおさまりました。が、どうして見ていたはずなのに、記憶があやふやになるのか、当時若者だった私には、首をひねる出来事でした。でも、新品の毛布を家から取ってきて、掛けてあげたので、少女の親は、お礼を言いに家まで来られました。(毛布はかえりませんでした)

  2. 柏城 信一 より:

    コロコロさんこんにちは!
    そうなんですよね。
    この事件以来、ボクはどういう行動をすれば疑われなかったのか?と考えたのですが、うまい答えが見つかりませんね。
    見物人は、結局「やじうま」なんですよね。
    事故であった方が面白いと思ってしまうのでは?
    でも、道路に倒れている人がいたら見てみぬ振りは出来ないですよねぇ。
    しかし…毛布までかけてあげたなんて、コロコロさんは素晴らしいっ!!優しいですね(^^)

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