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vol.32 『あなたのお名前は?』

 さて、いきなりですがここで問題です。
 次の文字列は何と読むでしょう?
 【高橋】
 ハイ、分かった人から並んでくださいねぇ~。
 じゃぁ、ボクの耳元で正解を言ってください。
 ………ブ~ッ!違います。
 ハイ次の人。
 ブ~!!また違います。
 正解は……【コウキョウ】です!
 タカハシではなくて、コウキョウ。
 そう読めない事もないけれど、一発でコウキョウと答えた人は偉い!
 っていうか、実際そう答えられる人はあんまりいないと思うんだよねぇ。
 
 ─────今回はそういうお話です。
 
 
————–2005/04/27 発行 第32号———————–
 
 


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■ハンドルを握ったサルと愉快な仲間たち
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 『あなたのお名前は?』
 
 今回の話を書き終わってみると「こりゃーボツだな」と
 自分で反省して消去してしまいました。
 というのも、今回のテーマは「人の名前」なんですよ。
 宅配便っていうのはご存知の通り、伝票に書かれた人物に
 荷物を渡す事ですよね。
 ところが、名前って難しいです…。
 読み方が分からない事だってたくさんあります。
 そういうテーマで、面白かった話をメルマガに書いたのですが
 書き終わってみると、やっぱり公開出来ない事に気が付きました。
 名前がテーマですから、そのものズバリの名前が書いてあるわけですよ。
 メルマガの文中に。
 こりゃーマズイですよ。
 だって、もしかしたらその名前の人がいるかもしれないじゃないですか。
 そういう事って、その人からしたら面白くないかもしれない。
 ボクの名前だってそうです。
 「柏城 信一」を「カシワジョウ」とか「カシワシロ」とか言われる事
 ありますからね。
 (正解は、カシワギ シンイチといいます。よろしく~)
 いや、もちろん気は使って書いたのですが、やっぱりねぇ…。
 というわけで、残念ながら今回のメルマガはここまでです。
 また次回をお楽しみに~(^^)/~~
 ………とは、いかないですよねぇ。
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 そんな訳ですので、今回は前振りで使った【高橋】さんを例に取って
 話を進めていきますね。
 もちろん話に出てくる人物は【高橋】さんではないですからね。
 日本で一番多い名前と聞いたので、高橋さんを使わせてもらうだけです
 からね。高橋さんじゃないですよーー!あしからず(汗)
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 宅配便やってて結構困るのが、住所不明。
 これが多いんですよねぇ。
 
 その理由として、まず多いのが「書き間違い」です。
 例えば、結婚内祝いとかで大量に何かを送るときに住所リストを
 一行間違えて書いてしまったとかですね。
 それに続くのが「書き落とし」
 例えば「柏城町」という地名があるとしましょうか。
 その周辺には「柏城東」「柏城南」とか「柏城本町」「柏城上町」とか
 いろいろあったりする事が多いんですよね。
 
 単なる書き落としでも、ボク達は伝票に書いてある住所しか
 手がかり無いわけですからね、探すのに苦労します。
 
 あとは「読めない字」
 せっかく住所を書いても配達する人に読めないような字で書かれたら
 荷物の届きようがないですよ。
 さらに「同じ番地が何十件もある」という要因もあります。
 自分の番地はウチだけだと思っていませんか?
 これ案外知られていないんですが、隣近所すべて同じ番地って事が
 かなりの地域でみられますよ。そういう地区で同姓の人が住んでいたら?
 誤配の原因ですよね。これを防ぐには「氏名を名前までハッキリと書く」
 これでかなり防げます。
 それから「マンション名が書いていない」「部屋番号が無い」「住所その
 ものが書いていない」「自分(送り主)の住所を書いてある」「間違って
 いる番地を正しい番地だと思い込んでいる」………
 など、たくさんありますが全部説明するのは大変なのでまたの機会に。
 
 ま、そんな理由で住所不明が起きると配達員は電話調査をします。
 配達先に正しい住所を聞くためですね。いろいろ調べるよりも、この方法
 が一番てっとり早いですから。
 ほらほら、今日も住所不明の荷物が出てきましたよ~。
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 「ねぇ、柏城さん。○○町でタカハシさんって家ある?地図見ても見つか
  らないんだよねぇ。新しく引っ越して来た人かなぁ?」
 配達前に地図調べをしていた、配達員の大野クンが聞いてきました。
 
 「高橋さん?あぁ、いるよ。でも何件も高橋さんってあるけど何番地?」
 「えーと、5-3-1ですね。でも地図では佐藤さんになってるんです」
 「5-3-1?そこは佐藤さんだよ。番地間違ってるなそれ。」
 「やっぱりそうですよね。住所不明ですね」
 「うん。5-3-10とか5-31-?とかで無い?」
 「無いですねぇ。ありがとうございます。電話してみます」
 「そうだね。住所違ってると思うけど、もしかすると佐藤さんと同居って
  事も考えられるし…。電話して聞いた方が早いかも」
 そうして電話を掛け始めた大野クンですが、今回の悲劇の被害者になって
 しまうとは、この時誰も気付かなかったのです。
 「あ、こちら○○便ですけど、タカハシさんですか?…え?あ…、そうな
  んですか。えー…と電話番号は○○○○ですよねぇ?…そうですか、申
  し訳ありませんでした。失礼致します。」
 先程の高橋さんに電話を架けていた大野くんですが、どうやら住所不明と
 いうだけではなくて、伝票に書いてある電話番号まで違っていたようです。
 ま、こんな事はしょっちゅうあります。
 「大野くん。違ったの?」
 「ええ。コウキョウさんって所にかかりました」
 この後、大野くんは電話番号案内104にも架けていましたが結局わから
 ずじまいなので調査チームに任せることにしました。調査は時間が掛かる
 とクレームの原因になりかねませんので、調査チームは、まず発送店に連
 絡することから始めます。
 ところが、次の日になって事態は大変なクレームになってしまいました。
 お客様から荷物が届かないと発送店に連絡が入ったのです。
 遅れるなら連絡のひとつくらい寄こせと。
 デポとしては調査している事を発送店に伝えているので、そちらの方の
 調査はどうなっているのか?と言うと、発送店もお客様からクレームの
 電話があって以降、連絡が取れない。という事でした。
 お客様に聞いた電話番号が違っているとの事です。
 電話を架けると「コウキョウだ!タカハシじゃねぇ!」と切られるそうで
 す。そういうわけなので一応伝票に書いてある現地にも行きましたが、そ
 こはまぎれもなく「佐藤さん」であり、確認もしたけれど該当者は住んで
 いないし、知らないと言われたそうです。
 デポも発送店も、ほとほと困り果てた時に再度お客様からクレームの電話
 が架かってきた時に、やっと住所が判明したのです。
 まず住所は、お客様の思い違い。
 推測できない間違いだったのでこれでは荷物は届きません。
 
 そして問題なのは電話ですよね。
 実はこれ、「高橋」と書いて「コウキョウ」(仮名)と読むのです。
 書かれていた電話番号は合っていたんです。
 ところがこの「高橋」さん、どう考えても「タカハシ」とたいていの人が
 読んでしまうのに「コウキョウ」と呼ばれなければ電話は受けないそうな
 んです。町で呼ばれても無視するそうです。
 確かに名前を間違えて呼ばれることは、多少面白くない事かもしれないけ
 れど、こんな万人が間違えてしまう読み方なんだしフリガナも書いていな
 い状況であれば「タカハシ」と電話が架かれば「いや、コウキョウと読む
 んですよ」と言ってくれればいいのに。
 さて、住所も判明して大野くんが荷物を届ける事になったのですが
 大野くんは「タカハシ」じゃないぞ「タカハシ」じゃないぞと思いながら
 配達に向かったそうです。
 そしてインターフォンを押してお客さんが出てきた時に思わず
 
 「タカハシさんのお宅…あ、いやスミマセン!タカキョウ…じゃなくて…
  えー……タカ、タカ…あれ?あれ?」
 そう言ってしまったのです。
 
 「タカハシじゃねぇって言ってんだろ!」
 …荷物は受け取ってもらえなかったそうです。
 そして当然クレームになりました。
 大野くんの落ち込み方は見てられなかったですよ。
 



コメント

  1. じっちゃん より:

    この人、変な人ですね。生きていてストレスが溜まりまくりでしょうね。私の名前はとってもシンプル。画数も少なく名字は八画と三画でした。新聞を開けば必ずどこかにあるような文字です。ですが、10人いたら9人は間違います。戸籍上は旧漢字でしたからそりゃもう100%読めません。教えなかったら永遠に苦労するでしょうね、この人。自ら事態を面倒にしていますね。巻き込まれる側は災難この上ない。おきになさらずに、すごしましょう。

  2. 柏城 信一 より:

    >じっちゃんさん
    こんばんは。
    ふむ…。9人にも間違えられるとは大変ですね。やはり、宅配業をやっていると様々な苗字に出会います。でも大抵は、にこやかに教えてくれるものですけれど…。逆に考えると、間違えられるのは気分が良くないのも事実ですものね。
    配達する方も、もっと勉強しなければなりませんね。あたたかいお言葉ありがとうございます。
    それではまたよろしくお願いします。

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