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vol.45 『タイムマシンなら問題解決』

 毎回、楽しいお話をお届けしようとしているんですが
 何故か、「怒りの話を読みたいです」という声もあるんですよね。
 そういえば最近は、クレーム編を書いてないかなぁ?
 ボクが怒られてるの楽しい…の?(笑)
 ま、でも正直言うとネタ的には「怒り編」の方が多いんですけどね。
 というわけで久しぶりにクレーム編のお届けです。
 あなたの代わりに現代日本人をレポートする宅配探検記!
 「こんな事もあるんだ~」と楽しんで読んでくださいね。
 
 
————–2005/09/25 発行 第45号———————–
 


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■ハンドルを握ったサルと愉快な仲間たち
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 『タイムマシンなら問題解決』
 その日は何故か荷物の入荷が多くて、朝からフル回転でした。
 なんとか午前中指定の荷物を配達し終わり、
 住宅地に入った最初の家で事件は発生しました。
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 その家は、新しく区画整理された新興住宅地に立っていました。
 この一角が出来た時は、よく配達していましたが
 最近ではあまり配達がなくなり、久しぶりの配達でした。
 幹線道路からはだいぶ離れている土地で、
 そこで行き止まりになっている住宅地ですから
 クルマが行きかう事もありません。
 子供達が補助輪の付いた自転車で遊ぶ中を
 ゆっくりとクルマを走らせて住宅地に入っていきました。
 目的の家は一番奥の家でした。
 その家の裏は「丘」になっていて
 駅へ向かう人達の近道として使われています。
 ただ、薄暗いし道だって舗装されているわけじゃありませんから
 あまりその丘の道を通る人は多くはないですけどね。
 丘の高さはたぶん丁度2階の高さと同じくらいです。
 あれじゃあ、丘の道を通る人には、
 今から向かう家の中は丸見えでしょうね。
 
 クルマを停めて荷物を取り出しインターフォンへ向かいました。
 中から子供の声が聞こえます。
 
 (お、やった!居る)
 そう思ったのですが
 インターフォンを押しても出てきません。
 時間を置いて3回押してみましたが応答無かったので
 しかたなく不在票を書き始めましたが、その時突然ドアが開きました。
 「何かッ?」
 いきなりの喧嘩口調。
 すでに目が怒っています。
 30代前半くらいの女性。
 一体何なんでしょう?
 「あ、宅配便です」
 「あ?見てわかりますよ!そのくらいッ!」
 じゃあ、何?
 見てわかるんなら荷物受取ればいいじゃん。
 何を怒ってるんだ?
 
 「ハンコかサインお願いします」
 「あんたねぇ…、私は子供の服を選んでいたのよッ!」
 ため息交じりで答え始めた言葉は
 言い終わる時には怒声に変わっていました。
 
 「は?」
 「は?は?って何?自分のした事がわからないのッ?」
 いや、ボク…なんかしたのか?
 思わず周りを見回したけれど、意味がわからない。
 まだ門も開けていないし、触ったのはインターフォンのボタンだけです。
 それに『子供の服選んでいたのよっ』て何?
 「私は、子供の服を選んでいたのよ!
  それを邪魔する権利があなたにあるの?」
 へ?
 何言ってんだ?
 邪魔って何?
 だいたい、そんな事言われたってわかるわけないじゃん。
 それともインターフォンを押す前に
 部屋を覗いて、服を選んでいないのを確認してから
 そこで初めてインターフォンを鳴らせば良かったとでも言いたいの?
 「いや、わからなかったので…」
 「わからない!?わからないというのッ?」
 「はぁ…」
 「そうですねッ!仕方ないですねッ!!」
 「はい…」
 「はい?何納得してるのよッ!!」
 なんなんだよ一体。
 ヒステリーか?
 相手にしたくないよ。こんな人。
 一体何が言いたいんだ?
 「私は子供と家族団欒で、楽しく子供の服を選んでいたというのに
  あなたが荷物を持ってきたおかげでその時間が台無しなのよッ!
  時間というのは、後戻りできないの!
  あなたに使う時間なんて1秒も計画に入っていないの!
  それともあなたは、私にあなたのために時間を割けと、
  こう言いたいの!?いい加減にしてよッ!!」
 はあぁ???
 何なんですか、本当に。
 ワケわかんない。
 荷物持ってきただけじゃん。
 それでチャイム鳴らしただけじゃん。
 いい加減にして欲しいのはこっちの方ですよ。
 「荷物…受取ってもらえますか?」
 「キーーーッ!あなた何考えてるの?
  1秒も無いのよあなたには!
  荷物を受取る時間もないし、
  電話も全て切ってセッティングしていたのに
  それを邪魔する権利なんか、あなたには無いッ!」
 ボクは何も言わず、振り返りもせずに荷物を持ってクルマに乗り込み
 その家から離れました。
 
 服を選んでいて、ここまで怒鳴られる理由を考えてみた。
 でも、ボクには思いつかない。
 
 ハッキリ言って付き合えません。
 荷物の配達でチャイムを鳴らしただけなのに。
 じゃ、荷物取りに来ればぁ?って感じでした。
 軽くキレたのかもしれません。
 荷物の配達という事は、わかっているのに
 ボクに1秒も使えないのなら、それなら…
 荷物を取りに来る計画を立ててから事務所に来りゃいいよ。
 そう思ってしまいました。
 そして…、やはりクレームになりました。
 しかし、クレームの原因は荷物を持って帰った事ではなかったのです。
 以前、このメルマガでお伝えしたように、
 クレームが入った場合は本社経由でデポにファックスが送られてきます。
 
 そのクレームの内容は次のようなものでした。
 ********************************
 来訪の際には、相手がどのような時間を過ごしているのか確認するのが
 当然であり常識である。
 当方では、裏の丘から家の中が見えるようにカーテン等はしていない。
 来訪する人は必ず、そこから確認しているはずである。
 何も確認せずに、いきなりインターフォンを鳴らすとは非常識そのもの。
 当該配達員の再教育を求める。
 ********************************
 
 というような内容です。
 さらにファックスは続きます。
 ********************************
 可能ならば、当方が無駄にした時間の返還を求めるが、
 そのような実行不可能な要求はしない。
 しかし、選んでいた洋服を着せた瞬間を見る事が出来なかったので
 その感動するための時間の返還。
 つまり新しい洋服の購入代金を請求する。
 謝罪や弁明は一切拒否する。
 □購入代金の支払いの方法
 銀行からの振込みでは誠意がみられない。
 口座を教える義務もない。
 ○月○日(2日後)、午後7:55に自宅へ持参。
            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                             以上
 ********************************
 …どうですか?
 ボクには全く理解できません。
 ボクが異常なんでしょうか?
 しかし…、荷主のデパートは要求に応じました。
 そして、配送業者を変えるかもしれないという
 大きな問題に発展しました。
 ボクは本社に呼ばれました。
 始末書を書け!と言われるのかと思っていましたが
 そんな話ではありませんでした。
 しかも呼び出された相手は最悪の幹部…。
 「柏城ッ!てめえ何考えてるんだ!
  だからお前らみたいな配達員はアホだって言うんだよ!
  誰でも出来る仕事なんだよ、それすら出来ないなら辞めちまえッ。
  …人間失格だよ、てめえは。人間も辞めた方がいいんじゃねえか?」
  
 …いつもの口調です。
 ボクは、この人とは一切口をききません。
 心の中で思うことはいくらでもありますが…ね。
 
 クレームについての話は、
 そのデパートが撤退した場合の損害賠償責任もありうるという話でした。
 …年間何千万円という額。
 荷主からすると簡単に配送業者を変える事ができます。
 それは配送業者にとって「死」を意味します。
 大口の荷主が撤退すれば、配送業者はすぐにつぶれます。
 今回は今までの配達成績などから(デパートが口添えしてくれました)
 悲惨な状況は免れましたが、配達員とは弱い立場ですねぇ。



コメント

  1. じっちゃん より:

    すごい、凄すぎる…。
    この主婦も凄いが、幹部も凄い。
    もちろん負の意味で凄い。
    常識離れしている。
    世の中は広いですね、いろんな変人がいます。
    彼女は病気なのかもしれません。
    めげずに頑張ってください。
    あるいは参る前に転職をするか。…恐いです。

  2. 柏城 信一 より:

    >じっちゃんさん
    こんばんは!
    いろいろな人がいますよねぇ。
    ま、お客さんなら我慢出来ますけど、この幹部には「キライ光線」丸出しにしています(笑)
    独特のストレス解消法で、毎日乗り切ってます。楽しい事もたくさんありますからね!
    これからもよろしくです♪

  3. kiriann より:

    びっくりしました。
    私も老人ホームで働いていて、利用者の自己中に悩まされていますが、ここまで酷くありません。
    この人たちは頭がイカレテいます。
    気にしないで、頑張って下さい。
    キレナイデよく対処されていると感心しました。
    まじ、尊敬します。
    私も、荷物を受け取るとき、気をつけます。
    ストレスにつぶされないように、体に気をつけてください。

  4. 柏城 信一 より:

    >kiriannさん
    こんばんは!
    老人ホームにお勤めですか。
    大変なお仕事なんでしょうね。
    宅配便は毎日さまざまな人に会うので、いろんな事がありますが、配達終わっちゃえばそれまでですからね。
    ワガママな人と毎日顔を合わせなくてはならないkiriannさんこそ大変ですよね。お仕事頑張ってください!
    これからもよろしくお願いします。

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