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vol.49 『絶叫マシーンをやっつけろ!』

 突然ですが、みなさん絶叫マシーン乗れますか?
 え?
 大好き?
 何度も乗りたいってぇ~!!
 マジっすか?
 本気でそう思ってるんですか?
 …ボ、ボクはダメなんですぅ。
 全然ダメなんですぅ。
 ディズニーランドの「カリブの海賊」で
 ちょっと落ちるのも、まったくダメなんですぅ(泣)
 でもま、宅配便やってる時は関係ないからイイや。
 好きな人が好きなだけ乗ればいいじゃん。
 ボクは絶対乗らないからねっ。
 ところが…
 そういう絶叫マシーン苦手な人って、高い所も苦手なんですよね。
 うぐぐ…。
 高い所…。宅配便やってて困るのはボクの苦手な「高い所」にも
 行かなきゃならないって事なんですよね。
 今回もまた、ボクの間抜けな一面のお話です…。
 
 
————–2005/11/21 発行 第49号———————–
 


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■ハンドルを握ったサルと愉快な仲間たち
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 『絶叫マシーンをやっつけろ!』
 
 繁忙期になると増えるのが季節の贈り物。
 お中元、お歳暮ですよね。
 ま、当たり前か。それが増えるから繁忙期ですもんね。
 じゃ、どういう人に配達が多くなるかというと
 これは「医者」「先生」「税理士」…
 いわゆる、社会的地位のある人のお宅への配達が多くなるんです。
 それはいいです。
 お世話になった人に贈るのが季節の贈り物ですからね。
 
 でも、
 なんで、そういう人たちって高い所に住みたがるんでしょうか?
 高い所っていうのは「山の上」とか
 「マンションの最上階」とかなんですけどね。
 
 荷物も大量に出るから「おいしい」んですけど
 配達先がそんな所だから大変なんですよ。配達員としちゃ。
 そんな中でも特にボクが嫌なのは(苦手とするのは)
 ある高層マンションのお宅なんです。
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 あのお宅は最悪なんです。
 繁忙期が来るたびに憂鬱になるくらいです。
 行きたくないのに荷物が毎日送られてくるから毎日行かなきゃならない。
 行きたくない理由は簡単。
 14階建ての高層マンションの最上階だから。
 しかも!山の上なんですよ。
 山の上にドドーンと14階建てのマンションが建ってるんです。
 その片側は切り立った崖。
 つまり、ただの14階建てじゃないんですよね。
 マンションから下界を見ると山の高さも手伝って
 そりゃもう、気の遠くなるくらいの高さ…。
 高い所苦手だって言ってるのに…。
 でも、このお宅の配達がキライなのはそんなもんじゃないんです。
 ただの14階建てのマンションじゃないんです。
 マンションに入ってからが大変なんです。
 ボクに言わせりゃ、マンションそのものが絶叫マシーンですよ!
 
 まず、ロビーに入ります。
 さすが高級って感じでホテルのような雰囲気を醸し出しています。
 お、かすかにBGMも流れているじゃないですか。
 さっきまでビビッていた気分が落ち着いてきます。
 このままの精神状態で配達したいものです。
 …しかし、これは嵐の前の静けさ。
 これからが本番なんですよね。
 ロビー奥のエレベーターで13階に向かいます。
 
 ん?13階?
 そう思う読者さんもいるでしょう。
 
 実はこのマンション、13階までしかエレベーターが行かないんです。
 そう、最上階の14階は階段で行かなければならないのです。
 エレベーターのドアが閉まる音がボクには
 絶叫マシーンの発車ベルに聞こえます。
 上昇するエレベーターとともに心音と血圧が上昇する気がします。
 13階に着くと、まず廊下の恐怖が襲ってきます。
 14階まで上るための階段はエレベーターの脇にあるわけではなくて
 この13階に伸びる廊下の突き当たりにあるのです。
 そしてこの廊下が曲者で、最初に説明した崖側に面しているのです。
 しかも何を考えて作っているのか、壁が鉄柵なんですよ。
 1階のロビーの重厚な佇まいはどこへやら…。
 (何考えてるんだ!)
 13階の廊下から外丸見えです。崖の下まで…。
 まるで空中に浮かんだ通路を歩いている感じですよ。
 
 なんだか引き込まれそうな感じを必死で抑えて歩くんですけど
 股の間がスースーしちゃうんですよねぇ。
 そしてやっと辿り着いた階段も、鉄柵…。
 正直、帰りたくなりますよ。
 高所恐怖症の人ならわかってもらえると思うんです、この怖さ。
 たぶん…崖の高さも入れると20階くらいの高さだと思うんですが
 その階段の手摺が鉄柵なんですよ!外階段ですよ!
 
 (どうして~!)
 荷物を持ってるから手摺にも掴まる事も出来ないし
 見ないように見ないようにとしたって20階下が見えちゃうし…。
 足はガクガク、心はブルブル。
 1歩1歩確実にゆっくりと速く階段を上がります。
 そうやってやっと目的のお宅に辿り着いたのに
 そのお宅の玄関前がまた最悪!
 
 玄関前のスペースが、何故か下丸見えのガラス~!!
 素材が何かわからないけど、とにかくガラスみたいに透けてる床!
 そして両側は鉄柵の手摺~。
 そこ通らないとインターフォン押せないんですぅ~!!
 (あんた、絶対おかしいよ!
  こ、こんな作りしちゃってさぁ、高い所好きなのッ!?
  ボクはキライだよッ!)
 
 …って言ってやりたい。
 けど、言えない…。
 心臓バクバクさせて、ソロソロ…とインターフォンを押して
 パッとその床から離れてお客さんが出てくるのを待つんですけど
 このお客さんがまた…、
 ボクがその透明床に立たないと荷物を渡せない所で待つんですよね。
 (絶対ボクがビビるの楽しんでるだろ?)
 そう疑いたくなりますよ。
 いつも心臓バクバクしながら
 気が遠くなりそうになるのを必死で我慢して荷物を渡します。
 こんな場所だからこそなんですかねぇ
 他の業者の配達員もビビり過ぎて、こんな事もあったそうです。
 ビールギフトを3つくらい持っていったそうです。
 ところが、問題の13階から14階へ上る階段で
 足が震えてしまったんだそうです。
 1回荷物を置いて仕切り直そうとしたらしいんですが
 その時にビールギフトがツルッと滑っちゃったんですね。
 焦ったその配達員は慌てて荷物を押さえたんですが
 今度は自分の体勢が崩れちゃった。
 そして思わず手摺を掴んじゃったそうです。
 当然ビールギフトは手から離れて階段をコロコロと…。
 そして手摺の隙間から20階下へ落ちていった…と。
 自分が落ちそうになった恐怖と、
 下に落ちたビールギフトが人に当たってしまったら…という恐怖で
 その配達員は30分もそこから動けなかったそうです。
 ビールギフトが落ちた下は運良く人が入れない雑木林になっていたから
 まだ良かったとしても、大変な事故になるところでしたよねぇ。
 みなさ~ん、
 みなさんのお宅に荷物が届けられる時、
 配達員は意外な障害と闘って配達してるかもしれませんよ~。



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