宅配便 痛快ドタバタ活劇!

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2005年4月 3日

vol.06 『シャンプー?シャンプー!』

思いっきり汗をかいた後のシャンプーは気持ちいいですよねぇ。
仕事の後のシャンプーも、今日も一日頑張ったなぁ…と
ホッとする瞬間ですね。
仕事モードから休息モードに変わりますよ。

だけど…、街の中でシャンプーしたらどうなるんでしょう?
それも仕事中に。やっぱりホッとしますか?
する訳ないっすよねぇ。
だって……実体験したんですから。


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■ハンドルを握ったサルと愉快な仲間たち
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『シャンプー?シャンプー!』

ブリの季節っていつでしたっけ?
『寒ブリ』っていうくらいだから冬?
脂がのって美味しいんだから、やっぱり冬ですよねぇ。
う~ん……でもジャンパー着ていた記憶がないんだよなぁ。
 
そうすると夏?
ブンブン蜂が飛んでたから、やっぱり夏だよなぁ。
でも夏に、魚をまるまる一匹贈るっけ?何の魚だ?スズキかなぁ?

最近ちょっと前の事をすぐ忘れちゃうんですよ。
なんだか嫌な兆候ですね。強烈な事は覚えてるんですが、
その日の天気とか、何を食べたかとか…あ~!嫌だなぁ。

いや、話が脱線してますが、
今回のお話には魚が発端になっているんです。
まだこの仕事を始めて間もない頃の話です。
あ、そうかやっぱり夏だったなぁ…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

宅配の仕事の流れは単純で、朝に今日配達する荷物の仕分けをして、地図調べして、時間の指定を考えてルートを組んで、荷物を積んで出発って感じです。

時間指定が無ければデポから近い所からドンドン配達していけるからルート組みの時間も掛からないし、あっち行ってこっち行ってなんてないから配達時間も半分で済むんですけどね。

まぁ、そうやって配達するわけですから朝早く配達できる所もあれば、夕方や夜に配達になってしまう所もでてくるんです。
1人の配達員が何件も車に積んで配達するわけですからね。1人1軒ってわけじゃないですから。
 
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あの日は、時間指定(午前指定)が多かったんです。
まだ初心者のボクはすごく不安だったのを覚えています。
廻れるかな?って。
でもやるしかない!他の人も会社の午前必着で大変だし。

気合を入れて結局無事廻れたのですが、
午前必着の家はデポから一番離れている場所。
普通ならここからデポに向かって順番に配達して行けばいい感じで廻れるのですが、そう上手くはいかないんです。

なぜなら時間指定と同じくらいクセモノが「ナマモノ」生物ですから車にいつまでも積んでいて鮮度が悪くなったら嫌じゃないですか。
というわけで伝票を見直すと、ありました。ナマモノが。

朝仕分けの時に1メートル位あった発泡スチロールの箱に入ったサカナ。それがデポに近い場所の住所なんです。

ついでに言うと、いつもと違う逆ルートで廻ると一方通行等で、上手く廻れないんですねぇ。今日はナマモノも積んでるし…。
ちょっと考えましたがやはりナマモノ優先して行こう!

デポの近くまで戻っていつものルートで行く事にします。
あ~あ、少し時間無駄になっちゃうな。けどいつものルートですしナマモノ早く届けたいしな。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして、そのナマモノの家に着いたのは午後1時頃。
結構重い発泡スチロール抱えてチャイムを押すと廊下を歩いてくる気配がします。 

(ホッよかった。いるいる。)

しかし!その家の人は予想に反して怒っていたのです。

「なんだ!今頃来やがって!」

(え…?はっ!もしかして午前必着だったのか?) 
 
慌てて伝票を見ますが、指定なんか無し。
は?と聞き返すと

「○○(地名)は午前中に届いているんだ!なんでウチは午後なんだ」

そんな事言われたって知らないよ。
配達員だって違う人間だし、その人のルートだって違うんだから。
もしボクが○○から来てるんだったら尚更、同じ時間になんて届けられないよ。

「あの、この品物午前指定だったのですか?」

「アホか!俺はなんで○○が午前でウチが午後なんだって言ってんだろ!」
 
「どうもスミマセン。ナマモノですからなるべく早くお届けしたのですが
 …」

そう言っている時、ボクの周りにブンブン嫌な羽音が聞こえてきたのです。
見ると玄関の上に蜂の巣が。そこから何匹かが飛び回っていたのです。

「説明しろ!なぜこっちの方が遅いのか!店(注文した店)からはウチの方が近いだろ。それなのになぜ遅いんだ!」

そんな事言われても店からの配達ではないし、ウチは運送会社でその店とは関係ないわけだし。

しかし、

「どうもスミマセン」

そう言ってしまいます。
いいわけすると問題は大きくなっちゃいますからね。
ただ謝ります。落ち度はないけれど。

それよりも蜂が気になる。
刺激したらいけないというけれど、つい無意識に頭の上をはらったりしてしまいます。

「なんだ、頭ァかゆいのか。そうか。」

そう言って奥に消えたお客さんは、しばらくするとシャンプーを持って現れました。

「頭、かゆいんだろ!洗ってやるよ、頭出せ!」

そう言うとボクの頭を掴んで引き寄せるとシャンプーを掛け始めたのです!ボクの頭に!ガシガシと!

「人が話してんのに頭掻きやがって!ふざけんじゃねぇ!」

もうなにがなんだか全く判らない。
それでも

「どうもスミマセン、どうもスミマセン」

問題大きくしたくないから。
お客さんだから。
会社に迷惑かけたくないから。
仕事クビになりたくないから。

「おらぁ!ここか!ここがかゆいのか!」

ガシガシ、ガシガシ。シャンプーが続きます。

「どうもスミマセンどうもスミマセンどうも……」

……なんで?そこまで我慢するか?

「スミマ……おい。いいかげんにしとけよコラ。」

…言ってしまいました。
ぴたっと動きが止まり玄関を閉める音が。

頭は下げたまま、そのまま車に戻りました。
途中、通りすがりのおばあちゃんが「あらあら、どうしたの?」と言っているのが聞こえましたが、何も答える事が出来ずに車に乗りました。

公園で頭のシャンプーを洗い落としながら、なんだかすごく悔しくて悲しい気分になりました。 





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