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2005年8月 3日

vol.19 『魂を抜かれた召使い その2』

さて、今回は『魂を抜かれた召使い』の続編です。

■前回のあらすじ

 穏やかに配達していたある日、とんでもない客に遭遇。
 チャイムを鳴らした瞬間、ドアを蹴り上げた女性。
 清楚に見えたその容姿とはうらはらに、罵詈雑言を浴びせてきた。


 「何考えたらそんなに馬鹿になれるの?
    まったく、親の顔がみてみたいわっ!
      仕方ないわね。ロクな教育受けてないんだから
        馬鹿に教育って事もないか。はーっははははははっ!」

 
 …一体何が起こっているのか?
 なぜ、ここまで言われないといけないのか?
 そしてここからボクは無事に帰ることはできるのか?
 
 
---------------2004/12/20 発行 第19号-----------------
 
 

 
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■ハンドルを握ったサルと愉快な仲間たち
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 『魂を抜かれた召使い その2』


 よく…動く口だ。
 次から次へと罵声を発しています。

 ボクは怒りに震えて、何を言われたのか一言一句まで覚えていないけど
 しかし散々、罵られ続けた事は確か。
 
 なぜなんだろう?
 ボクが鍵を掛けてある門を開けなかったのが気に食わないのか?
 それとも、他に何か気が付かない失敗をしたのだろうか?

 考えてもわかりません。
 大体、始めっからおかしかった訳だから。
 ドアを蹴ってブチ開けるなんて、普通じゃない。

 散々罵られながらボクは、ただ「早く帰ろう」そう思っていました。

 こんな人の相手なんてしてられない。
 さっさと代金もらって帰ろう。

 …?
 代金?

 そうでした!
 代金引換の荷物なんです。
 ここに来たのは代金引換の荷物を持って来ていたんです。

 そう。
 朝、電話を入れているんです。
 何時頃に伺うって。

 その時の様子はどうだった?
 あぁ~、わからない。今日は何件も電話したから。
 
 でも、記憶に残らないくらいだから普通だったんだと思います。
 あの朝の電話では普通だったのに、なぜ豹変しているんだろう。
 やはりボクが何か気に入らない事したのか?

 そう思っても、次から次へと浴びせられる罵声には
 やはりハラが立ってきます。

 ふざけんなよテメェ…(怒)

 顔では、わけがわからなくても多少すまなそうな表情をして
 内心では爆発しそうな怒りを抑えていました。
 知らず知らずのうちに、両手はコブシを握っていました。

 その時やっとその女性が代金を渡してくれそうになったんです。

 
 (やっと帰れる。こんなトコはさっさと退散したい)


 握っていたコブシをパッと開き、
 手を差し出して代金を受け取ろうとした
 その瞬間、女性の態度はさらに激化したのです!


 「ふざけんじゃねぇッ!わたくしが馬鹿だって言うの!
  馬鹿はお前だろッ!なんで、お前なんかにッ、お前なんかにッ!」


 はぁ?
 まったくわけわかんない。
 なんなんだよ一体?


 「今、手でクルクルパーってやっただろ!」


 代金を受け取ろうと差し出した時、
 怒りに震えてギリギリと握っていたコブシを
 パッと開いたのがいけなかったらしいです。

 そんな事で、またボクを「馬鹿はお前だろ」と…。

 
 殴る?
 ホント、ぶっ飛ばしたい気分。


 ところが逆にやられちゃったんです。

 その女性は、持って来ていた代金をいきなり投げつけてきたんです。
 しかも小銭いっぱい。

 ビシッビシッっと顔に小銭があたります。
 石と同じですよね。すごく痛かった。
 だって、顔切れたもん。

 玄関にお金が散らばりました。
 小銭もお札も。

 
 「拾えっ!お前は馬鹿なんだから犬みたいに拾えッ!
  はーっはははははーっ!」

 
 こ、こいつ…(怒)
 でも、耐えました。拾いました。
 代金以上の小銭を投げられましたけど、きっちり代金分拾いました。

 その時です。
 しゃがんでお金を拾っているボクの目の前にポトッと何か液体が。

 なんだろう?
 またポトッと。
 頭にも、かかっている感じもする。

 なんだろう?
 そう思って上を見ると
 なんと、その女性が唾を吐きかけていたんです!
 「馬鹿ッ!」「犬ッ!」とか罵声を言いながら。

 そして伝票までもビリビリに破られました。
 
 このやろう!
 もうブチぎれた!
 クレームになってもいい。
 こいつぶん殴ってやる。

 
 …でもやはり、そんな事が出来るわけも無く
 (クレームが来ると発送先がウチに荷物流さなくなる。会社全員に迷惑
 かける事になるから耐えるしかないんです)
 引き裂かれた伝票を持って、帰るしかないボクでした。

 クルマに乗り込む時、ボディをコブシで思いっきり殴りつけました。
 すごく痛かったのを覚えています。




 

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コメント

あんまりです。むごすぎです。よく耐えられましたね。異常なひとなんでしょうね。でも、腹が立つ以上に、うすら寒くなるような恐ろしい体験ですね。隣にこんなひとがいたら、うーーー、考えたくないです。本当に、ご苦労様でした!!傷心、癒されますように!

ありがとうございます。
まぁ、この事件は衝撃でしたね。
今まででも最悪に近い事件に入るんじゃないでしょうか?こうして古い事件を読み直すと、いやぁ~いろいろありましたねぇ。自分でもオドロキです(笑)


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