2005/07/06に配信した
メルマガ38号 『昭和から来た男』 エピローグ です。
 
 
 


 == エピローグ ==
 
 「いやぁ怖かったよぉ。だって墓なんだもんなぁ。
  ホント、あん時はビビリまくったっスよ~」
 工場長とジョーさんに、デポでこの出来事を話していた。
 
 「それで?荷物は渡したの?」
 「うん、早く帰りたかったし、本人だって言うんだから」
 「ンナ事あるわけねぇだろ。錯覚だよ錯覚」
 あの辺りにはよく配達で行くけれど山の上に続く道なんて無いし
 建物なんか全く無いとジョーさんは言いました。
 「でも不思議な事はまだあるんですよ」
 ボクはその後の話を続けました。
 
 伝票。
 無くなっちゃったんですよ。
 いやあんな状況でしたから
 だから途中で落としちゃったのかもしれないけど
 伝票整理でエラーが出なかったんですよね。
 ボクの所属するデポでは、今日配達する荷物は全てコンピューターに
 伝票番号を入力してから配達に出かける。
 そして荷物を品出しする際にも伝票ではなくて入力したデータの
 プリントアウトした紙で作業する。
 だから荷物を積んでいたという事はデータは入力されていたという事に
 なります。そして帰ってからも今日のデータを入力します。
 この時に持ち出しデータと完了データと合わないとエラーが出るのです。
 ところがあの伝票は帰った時に見つからなかったにも関わらず
 エラーが出なかったのです。
 そんな話をしている時に、調査係からの連絡が入ったのです。
 「提出されたファックスに伝票のコピーがありません。
  ちゃんと伝票のコピーを添付して提出してください」
 そんなわけはないんだ。
 ボクは調査係に伝票を『コピー』して渡したんだ!