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僕の部活動

ライフ

僕が中学生だった大昔の話。
新しい先生が赴任してきて、新しい部(部活)を作りました。

それは「地元探検部」という部で、地元のいろいろなものを掘り下げて研究してみようという部活でした。

 

当時の記憶を思い起こすと、学生は必ずなんらかの部活に所属していなければならないという事はなかったし、そもそも僕は運動系の部活に入っていたので、本来なら、よく知らない新しく赴任してきた先生が始めた、よくわからない部活は僕には関係のない世界のはず…だった。

ところが、僕は運動系の部活をやめて、その「地元探検部」に入部してしまったんですよ。なにかすごく興味がわいてしまったんだよね。

 

「地元探検部」は想像以上におもしろかった。

具体的な活動はいたってシンプルで、放課後に学校の近隣を歩いていろいろな発見を楽しむ「ブラタモリ」とか「鉄腕ダッシュ」みたいな感じでした。

新しい土地に引っ越してきた先生自身が、地元を詳しく知りたいために始めた部活みたいな感じでしたが、これが思いのほか楽しい部活になったみたい。

 

新しい発見をするのは楽しくて、たとえば…

  • 近所にあった小さな酒造所を見学してちょっとした手伝いをするとか、
  • 旧家を訪ねて所蔵品を見せてもらって地元の歴史を教えてもらったり、
  • 学校近くの造園業の仕事っぷりを見せてもらって石や樹木の魅せ方を習ったり、
  • 用水路にしか思わなかった小川が調べてみると実は歴史的意味のあるものだったとか、
  • 地元に生えてる植物を昔ながらの方法で調理して食べたり飲んだり、
  • 時には、身近な工具の生まれた背景を探ったり、電化製品を分解して仕組みを学習したりとか、

普通に中学校生活を送っているだけでは体験できないようなことができました。

今考えると、先生はセッティング頑張ったんだなぁと思う。
そのおかげで、僕ら部員は鉄腕ダッシュとかブラタモリ的な活動を満喫できたわけですね。
本当に楽しかったなぁ。

 

ところが。
僕は「地元探検部」を数か月で辞めてしまったんです。
というか、部活自体もその後なくなってしまった。

なんでかというと、文化部っていうだけで、変なことを言われたりしたんだよね。

地元探検部ってかっこ悪いとか、暗いとか、地味だとか。やいのやいの言う奴がいるわけですよ。

まぁ、当時の中学生からするとそういうのってあったよね。おとなしい子をからかったり、人と違う雰囲気の子にチャチャ入れたり。

でも僕はそういうの大嫌いだったんだよね。人が楽しんでやっていることをからかったりチャチャ入れたりするの。

僕自身は中学生にしてはだいぶ体が大きくていじめられるという事はなかったんだけど、同じ部の子たちはおとなしい子ばかりだったし、「地元探検部」の活動で集合している時に校舎の上の方からからかう言葉が降ってきたりするわけですよ。

そういうのでイライラしちゃって。

部活自体は楽しいし、部員同士もとても仲良くしていたんだけど、周りからいろいろ言われるのが嫌になって辞めちゃったんですよね。たぶん、他の子たちも同じ気持ちだったんだろうな。だんだん部員数が少なくなって部活自体無くなったんだ。

 

それから数十年。

いろいろな趣味をやってきたけど、結局一番好きな事は中学生時代の「地元探検部」の部活動そのものなんですよね。

史跡を巡ったり、動植物の生態を調べたり、職人が作るようなものが好きだったり。なにか身近過ぎて当たり前のものでも、掘り下げると面白いものですよね。

他の人の目を気にしないで自分に素直に向き合ってみると「ああ、僕はこういう事が好きなんだ」って気が付く。

こんな年齢になってから自分が本当にやりたい事に気がつくとは、ずいぶんと遠回りしてきたものだなあと思うけど、僕の人生は大概がそんなふうに遠回りのような気がする。もっと素直に自分を受け入れれば良かったのに。

だいぶ道草をしてしまったけど、これからは素直にやってみたい事を楽しみたいと思う。

そんな目で改めて周りを見渡せば、身近な世界には魅力的なものがたくさんあることに気がつく。

ここからもう一度「地元探検部」の続きをやっていきたい。
部員は僕一人になってしまったから、あの時のような体験はできないけれど、背伸びせずに身の丈にあった発見の旅を楽しんでいきたいと思う。

 

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