暑い!
宅配便の車はクーラー効かないから (T_T)
タクシーと違って何度も乗り降りしてその度にエンジン切るから、冷える暇ないもんね。
結局、窓全開で走るしかないのか…。
しかし暑い!
毎年の事だけど、右腕だけが真っ黒に焼けてる。
さっき買った500mmlのジュースは残り少ない。
冷えたの飲みたいのにもう温くなってるし…
あぁ…意識が…朦朧と…
も、もうだめだ。
次の1件配達したら、キュうケい シヨう…


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■ハンドルを握ったサルと愉快な仲間たち
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『至福の時の中で』
暑い暑いと言ってても仕方ないですよね。
荷物は待ってくれませんから。
さあ仕事仕事!
人間ってすごく柔軟に環境に対応するんだなぁ。
いや、この季節になるといつも思う事なんですけどね。
例えば4月5月の暇な時期に『お香典返し』等で急に荷物が増えると、体が対応しないんですよ。
「えぇ!まだこれだけしか配達出来てないのか?」
 
体力落ちたのかな?もう年で実力なくなったか?とか思うんですよ。けど繁忙期になると、そんな事ないんですよね。
やっぱり体は動くんです。
いやむしろ、毎日の積み重ねがあるから前回の繁忙期よりも確実にパワーアップしてる。
よし!今回は400件配って伝説創るぞ!なんてね。
要は、ウオーミングアップが必要なんですよ。
だんだんと荷物が多くなって、お中元カタログをどっさり配達してって感じで。
そうやって気持ちを「さ、お中元の季節だよ」と持っていき体力もつけて、と。
暑さもそうなんですよね。
だんだんと体が慣れてくる。
配達しながらサザンを口ずさむようになれば準備万端!(^^ゞ
でもそこまでいくのが大変なんですよ。暑さは体力奪いますからね。
繁忙期はある種お祭りみたいですから、
ハイな気分も手伝って宅配マシンになりきれますけど、
この時期はホント、実力で盛り上げないと繁忙期前にダウンなんて事にも成りかねません。
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そういう時に事件は起きるんですよ。あの日も暑かった…。
もし砂漠にひとり取り残されたら…干乾びた大地、灼熱の太陽。
気分はそんな感じだったかなぁ。
立ち止まるわけにはいかない。
動き続けなければ死んでしまう。
いや荷物が配達出来なくなる。
そんな気分の時にオアシスを見つけたら!
あぁ、まさにそんなシチュエーションでした。
暑かった。苦しかった。休みたかった。
そこに見たオアシスはホントに輝いて見えたんです。
その家は『踊り』の先生の家でした。
純和風の家は涼しげで堂々としていて、街の喧騒から切り取られたようでした。
某有名デパートのお得意さんらしく、よくお届けに行っていました。
早く休憩したかったので、いつものように品物を渡し
「ありがとうございました」と、そそくさと帰ろうとしたのですが奥から先生の声が…。
(応対に出るのはいつも生徒さん)
「配達さん!」
『配達さん』ですよ!
『配達員さん』でも『○○さん(この場合持っていった商品のデパートの名前で呼ばれる事が多いです)』でもなく『配達さん』ですよ!
なんて粋なんでしょう!さすがは踊りの先生。
なんとなくいい気分になって「ハイ?」と返事をすると
「暑いでしょう?ちょっと待って。冷たいの用意しますから」
とまた奥へ。
すぐに戻ってきた先生はキンキンに冷えた飲み物を持ってきたのです。
『配達さん』の言葉に陶酔したのか、
はたまたこの暑さのせいだったのか
先生の持ったグラスは素晴らしく美しく見えたのです。
「はいこれ飲んでまた頑張って配達お願いね」
差し出されたグラスには緑茶が入っていました。
うっすらと付いた水滴がその冷たさを予感させました。
通常、こういうようにコップで飲み物を出された場合、丁重にお断りしてるのですが、この時はまさに砂漠で発見したオアシス!
「ありがとうございます」と遠慮なく頂きました。
…悲劇はここから始まったのです。
受け取ったグラスは期待を裏切らず冷え冷え~でした。
水分補給にはスポ-ツドリンクが良いといいますが、景色が砂漠に見えるほどの脱水症状には緑茶が欲しくなるもんですよ。
そしてグラスには冷たい緑茶!
言う事無し!
一気にいきました。
一気に飲み干したんです。
…青汁だったんです (ToT)
緑茶じゃなく『青汁』!アオジルだったんです。
…そう一気です。
飲んじゃった。ボク苦手なんですよ。
あぁ先生が何か言ってる。
え?なんですか?
「サッパリするでしょう。暑い時にはこれよね!」
あぁそうですか…。
マズイって言いたい。けど言えない。でも何か言わなきゃ…
「ホントですね。サッパリしますよ!またよろしくお願いしま~す」
うぅ…。こんな事言っちゃう自分が嫌だ。
けど先生の満面の笑みを見てる
とこう言うしかないじゃんか。
暑さは忘れる事が出来た。
苦味で頭もすっきりした。
先生はこれを狙ったのか?さすが踊りの先生。
恐るべし。