宅配便 痛快ドタバタ活劇!

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バックナンバーをまとめたページです。簡単な説明付き。


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2006年6月 1日

vol.44 『タマゴで即席ダーリン誕生』

 宅配便って、家庭への配達だけじゃなくて
 会社とか商店とかにも、当然配達があるわけです。

 大抵の場合は、受付や納品所に届けて終わりなんですけれど
 中には(最近はほとんどですが)担当者や、店舗まで
 直接配達なんて事があります。

 そうすると時間は掛かるし、大変なんですけれど
 こんなハプニングもあるんですよねぇ。

 今回のお話は、スーパーで起きたハプニングです。 

 
--------------2005/09/20 発行 第44号-----------------------
 

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■ハンドルを握ったサルと愉快な仲間たち
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 『タマゴで即席ダーリン誕生』


 「まいどっ!」

 納品所の受付に声を掛けて、ボクは大型スーパーの店内に向かいました。
 受付では通常、会社名や連絡先を書いて入館証をもらってからの
 入館となるわけですが、ボクは毎日配達に来ているので顔パスです。

 納品作業中のバックヤードは戦争です。
 雑然と置かれた梱包されたままの荷物の隙間を台車が忙しく走り回って
 あちこちで、作業員の荷物をチェックする声が聞こえてきます。

 そんな混雑をやり過ごし、
 店内に入るドアを開けると、そこはもう別世界です。

 どこのスーパーでも当たり前のように流れているBGM。
 にぎやかな売り子さんの声。
 そして、なによりこの空気!

 はぁぁエアコンが効いていて天国ですよ~。
 クルマの中とは全然違いますねぇ。
 
 夏にスーパーへの配達があると最高ですね。
 配達に時間が掛かるから嫌だなぁ、と配達前に思っていたのが不思議です。
 こんなにも快適なら、何十件でも配達しちゃうのになぁ。


 いや、そんな事思ってないで、配達配達!

 大体スーパーに配達に行く時間帯は午前中なんです。
 夕方は混みますからね。

 しかし、ドアを開けたとたん今日は異常な混み方。
 通路中に人があふれていました。

 何か安売りでもしているのでしょうか?
 普段ならこの時間帯は、そんなに混雑していないのですが
 今日の混み方はすごいです。
 
 人でごった返している食品売り場を抜けて
 薬屋やカメラ売り場のフロアに入ると、
 さっきまでの混雑が嘘のように空いていました。
 

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 配達も無事に終わり、食品売り場に入るとまた人が押し寄せてきました。
 やはり何か特売でもやっているのでしょう。
 歩くのも困難なくらいの混雑です。
 
 人を避けながらバックヤードに向かって歩いていると
 背後から声を掛けられました。


 「あら!柏城さん?」


 振り返るとそこに、よく配達に行く家のお客さんがいました。
 40代くらいの品の良い女性です。

 自宅で仕事をしているのか、毎日のように仕事関係だと思われる
 荷物をよく配達しています。


 「あ、どうも~。買物ですか?」

 「買物に決まってるでしょ!スーパーに来て買い物カゴ持ってんだから」

 「そりゃ、そうっすね(笑)あ、今日も後でお伺いしますね」

 「はい。いつもごくろうさま。でもその前に、ひと仕事ね」


 と、何故かボクの手を引っ張るんです。

 え?ひと仕事って?


 「な、何ですか?」

 「いいじゃない。どうせ暇でしょ?協力してよ~」

 「協力…?何を?」

 「今日ねぇ、タマゴが安いのよ~。なんと100円!
  ね、びっくりでしょ?だから朝から来てるのよ~」

 「はぁ」


 よく見ると混雑してると思ったのは、
 タマゴを求めて、お客さんが並んでいるからでした。
 スーパーの店員が売り場のはじの方で、
 並んでいる人に順番でタマゴを渡しているのです。

 それが、ちょうどバックヤードの入口を塞ぐ形だったので
 バックヤードのドアを開けた時に、
 今日は混雑しているなぁと思ったのですね。


 (タマゴ100円って安いのか…?)


 ま、ボクには関係ないですよ。
 今日は客じゃないし、配達だって始まったばかりですからね。

 常連さんに「そうっすか。じゃ後で伺いますね」と言って帰ろうとすると
 すごいチカラで腕を引っ張り、すごい目で睨まれました。


 「だめ!協力してくれるって言ったでしょ」

 「いや、ボク配達あるんで…」

 「どうせ、暇なんでしょう?協力してよ」
 
 「いや、協力って…?それに協力するって言ってない…」

 「タ~マ~ゴ!『お一人様一個』なの!だから並んでよ」

 「な、並んで何するんですか?」

 「お一人様一個じゃ、私一個しか買えないでしょ?」


 いや、だからってボクに?
 二個買うためにボクに並べって言うの~??
 ま、まさかぁ(汗)ボク仕事中ですよ。


 「そういう事。ちょっとは協力しなさいよ。」

 「いや、だって仕事あるし…店員だってボクの事知ってますよ」

 「女房だって言えばいいじゃない。いいわねぇ、こんなキレイな奥さんで」


 …勝手に盛り上がるなって。
 外見に似合わずいつもサバサバしている性格で、
 元気いっぱいなのは知ってますが
 こんな事に巻き込まれるなんて…。

 気迫に押され仕方なく並んだボク。
 タマゴをゲットして常連さんのカゴに入れて帰ろうとすると

 
 「まだよ。レジまでついて来てくれなきゃダメでしょ
  お一人様一個までなんだから」


 げえぇぇ~。はあぁ…。


 「…わかりましたよ。じゃ、行きましょう」


 そう言ったのに、
 「他にも買う物あるから」と言って
 結局カゴまで持たされ、買物も最後まで付き合わされたのでした(泣)


 やっぱり、スーパーへの配達は時間が掛かるよ…。





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