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vol.16 『地獄の交差点』

宅配便 は、
外を走り回る仕事だからいろいろな事件を目撃します。
今回は「街で見た変なヤツ・シリ~ズ」です。

———-2005/11/28 発行———-

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■ハンドルを握ったサルと愉快な仲間たち
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『地獄の交差点』

ボクの所属するデポ(事務所)は、
オフィス街を配達エリアとして持っているくせに、
デポのある場所は結構な田舎です。

センターから大量の荷物を輸送するために、
4トンや10トンのトラックが出入りします。
だから少し街から離れた所にデポを構えなくてはならないのでしょうね。

まぁ、
そのために配達エリアに入るまでにかなりの距離を走ることになるわけですが、
その道中にまたまた「宅配アスリート」ネタを発見!

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その交差点は、
大型車が走行するためにかなりゆったりと広く作られています。

ボクたち宅配便のクルマや乗用車には、無駄に広いくらいです。

 
なんたって田舎ですから、
交通量も少ないですがなぜか信号が長いんですよね。
だから信号待ちする時は、大抵ボク1台。
その間に交差点を通過するのも1台。そんな感じです。
 
もちろん、
朝夕の時間帯にはトラックが行き交う産業道路と化すのですが昼間はかなりのんびりしています。

おばあちゃんが野菜載せた乳母車を押して横断歩道をゆっくりと渡って行くような、
のどかな交差点なんです。

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ある日の昼下がり。
 
ボクは2回戦目(荷物が積みきれないと、何度も往復するんです)
の積み込みをして、その交差点に差し掛かりました。

あいにく信号は黄色から赤へ。
また長い信号待ちになってしまいます。

ま、今日は荷物が大きいだけで、
荷量はたいした事ないのでのんびり行きましょう。

青になった方の道路からバスが交差点に進入して来ました。

バスはこちらにウインカーを出して曲がって来ました。

がっ!

バスは交差点の真ん中で突然急ブレーキ!
中の乗客ががくんとしているのがわかりました。

後続車もびっくりしたようでクルマのフロントをググっと下げて
ブレーキを掛けて停まりました。
「なんだよっ!」そんな声が聞こえそうな感じです。

ところがバスはいきなりバックし始めたのです!

危ないっ!ぶつかるっ!

バスが急にバックを始めた事に、
慌てた後続車のドライバーがあたふた首を前や後ろに振っています。
慌ててバックギヤに入れているんでしょう。

しかし間に合わない。

後続車がクラクションを鳴らし始めた時にはバスが後続車のフロントに
ガツンとぶつかってしまいました。

しかしバスの運転手はそれに気が付かないのか、さらにバック。

ガンガンガンッ!!
さらにぶつかります。

後続車が、すっごく慌ててます。
いや、普通にバックすれば「ガンガンガンッ!!」
って当たらないんでしょうが、
慌ててパニックになっているんでしょう。

だって窓から顔を出して「おいっ停まれーっ!」
と大声を出しながら
手をバタバタさせているんです。

ガンガンガンッ!!って当たる度に
ガクガクガクッ!!っと首を前後に振って。

やっとバスが止まりました。
すると今度は左に大きくハンドルを切って前進。

おお~なるほどぉ!
方向転換したかったんだな。
あのバスの運転手、曲がる方向間違えたんだ!

はたから見ているボクにはバスの動きの意味が分かりましたが
後続車がそれで納得するわけがありません。

驚きとパニックだった後続車のドライバーの顔が怒りの表情に変わりクルマを降りてバスに駆け寄って行きました。

猛ダッシュです。

バスの運転席の窓をガンガン叩いて何やら文句を言っているようです。

バスも止まり話をしているように見えましたが…。

出し抜けにバスの運転手が飛び出してきたのです。

いや、もちろん窓からではなく、バスのドアからですが。

ところが飛び出したバスの運転手はボクの方に駆け寄ってくるではありませんか!

なんだ?
と思っているとバスの運転手がボクに向かって

 

「助けてくださいっ!変な人に絡まれているんですっ!」

 

って泣き顔で…。

お前はアホか?
ボクは言いました。

 

「怒るの当然だろ?わかってないのか?」

 

 もちろんバックして後続車にぶつかった事を言ったのですが
 運転手が発した言葉は

 

 「変な人ばっかりだ!」

 

 ってお前が変だろ?




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