3歳くらいの子供が無邪気に遊んでいるのを傍らで母親が眺めている風景。
何処にでもあるような日常です。
子供は道路にしゃがんで、何やら「きゃっきゃ」言って何かを突付いていました。
母親は子供を黙って見ていました。ただ…表情は無表情でした。
その仕草は遠目には、とても自然なのでボクは近くによるまで何も気に止めていませんでした。
ところが…
ボクは目を疑いました。
子供が突付いていたものは、なんとスズメバチだったのです!
まだ生きてる、4~5cmもあろうかというスズメバチだったのです。
羽を怪我しているのか飛ぶ事は出来ないようでしたが片方の羽を羽ばたく「ブーン」という音がボクにも聞こえるくらいでした。
それを母親は黙って見ているのです。
子供は笑いながら突付いています。
思わず叫んでしまいました。
「それ!スズメバチですよッ!」
ボクのその声に子供が驚き、母親に走り寄りました。
子供がスズメバチから離れた事でホッとしましたが、母親はボクを睨みつけました。
…余計なお世話だったようです。
ボクは「事なかれ主義」みたいなところがあって、普段だったらこんな風に叫んだりしないと自分では思っているんですけれど、スズメバチを無邪気に突付く子供を見たらとっさに叫んでしまったのです。
でも、あの母親の顔を見て(余計な事言ってしまったかな…)となんだか自己嫌悪です。